哲学から派生した学問まとめ|全部哲学が始まりって本当?

こんにちは!哲学が好きなんだけど、専門家でも研究者でもない、ただのファンが好き勝手に語るブログへようこそ。

哲学の本を読んでいると、妙な引っかかりを覚えることがあります。哲学者のはずの人が、いつのまにか数学の定理を証明していたり、宇宙の構造を語っていたり、政治のあるべき姿を論じていたり。古代ギリシャのエピソードなんて、まさにその連続です。

「これ、もしかして全部哲学から始まってる……?」——そんなこと、ふと考えたことはありませんか?

調べてみると、どうやらその直感はあながち間違いでもないようでした。今日は哲学から派生した学問の関係を、私なりに整理してみたいと思います。解釈が間違っているかもしれませんが、それもまた哲学の面白さということで!

そもそも「哲学」は学問全体の名前だった

哲学の語源はギリシャ語のフィロソフィア(Philosophia)で、「知を愛すること」という意味だと言われています。ここで大事なのは、この言葉が特定のジャンルを指す名前ではなかったということです。

星の動きを考えるのも、物の成り立ちを考えるのも、正しい国のかたちを考えるのも、全部ひっくるめて「知を愛する営み」でした。今でいう理系も文系も、当時はまだ分かれていなかったわけですね。

そこから17世紀以降、実験や数式という強力な道具を手に入れた分野が「科学」として独立していきます。さらに20世紀にかけて、心理学や言語学といった分野も次々に家を出ていきました。私のイメージでは、哲学という一本の大きな幹から、枝がどんどん分かれていった感じです。

面白いのは、枝分かれして終わりではないところ。どの学問も、行き詰まったときには必ず哲学のところに戻ってくるらしいのです。

言葉だけだと分かりにくいので、私なりに一枚の図にしてみました。

学問の家系図:哲学から枝分かれし、行き詰まると戻ってくる

哲 学(フィロソフィア) 「知を愛すること」/古代ギリシャでは理系も文系も、まだ分かれていなかった

自然哲学

  • 物理学・天文学17世紀/『自然哲学の数学的諸原理』
  • 生物学・医学実験の道具を手に入れて独立
  • 化学原子という見えないものを扱う

道徳・社会の哲学

  • 経済学18世紀/アダム・スミスは道徳哲学の教授
  • 法学・政治学プラトン以来の「正義とは何か」から

心と言葉の哲学

  • 心理学・脳科学19世紀後半/計測できる部分が独立
  • 言語学20世紀/言語論的転回
  • AI・情報科学土台の論理学は哲学の一分野
最先端の壁

量子力学の観測問題/どこからが生命か/意識のハード・プロブレム/AIは心を持てるのか

そもそもこの前提は正しいの?
※専門家の分類ではなく、一ファンの見取り図です

順番に見ていきましょう。

理系の学問は「自然哲学」の子どもたち

物理学:ニュートンの主著のタイトルがすべてを物語る

個人的に一番びっくりしたのがこれでした。ニュートンの代表作、正式なタイトルは『自然哲学の数学的諸原理』です。物理学の金字塔とされる本が、堂々と「哲学」を名乗っている。つまり当時、物理学という言葉すらまだなくて、それは自然哲学と呼ばれていたわけです。

しかも現代でも縁が切れていません。量子力学の「観測するまで状態が決まらない」という話や、宇宙論の「宇宙が始まる前には何があったのか」という問い。この辺りになると、もはや実験だけでは答えが出ず、物理学者と哲学者が同じテーブルで議論しているそうです。

生物学・医学:「どこからが生命か」は実験では決まらない

ゲノム編集、クローン技術、脳死と臓器移植、延命治療。ニュースで見かけるこうした話題は、技術の問題であると同時に、「どこからが生命なのか」「人間はどこまで操作していいのか」という問いを含んでいます。

ここで登場するのが生命倫理という分野です。倫理学はもともと哲学の中心的なテーマですから、私の読み方では、これは哲学が現代の現場に呼び戻されている例なのだと思います。顕微鏡では「いつから人間か」は見えませんからね。

化学:目に見えない「物質の実在」をどう考えるか

化学にも化学哲学という領域があります。小さな原子が集まったとき、なぜ元の原子にはなかった新しい性質が生まれるのか(創発と呼ばれるそうです)。そもそも、直接見ることのできない原子が「実在する」とはどういうことなのか。言われてみれば、確かに不思議な話です。

文系の学問も、もとをたどれば哲学だった

経済学:アダム・スミスの本業は「道徳哲学」の教授

これも知ったときに膝を打ちました。「経済学の父」と呼ばれるアダム・スミスは、大学では道徳哲学の教授だったそうです。お金の計算をする人ではなく、人間の幸福と公正な社会について考える人だったわけですね。

そう考えると、現代の格差の議論や、GDP以外の「豊かさ」の指標をつくろうという動きが経済学のテーマになるのも納得です。「何が豊かさなのか」は、数字を集めるだけでは決まらない問いですから。

法学・政治学:プラトンから続く「正義とは何か」

「国家とは何か」「正義とは何か」。プラトンやアリストテレスの時代から、ルソーやロックといった近代の思想家まで、ずっと問われ続けてきたテーマです。そこから法哲学・政治哲学が形になり、現在の法学や政治学につながっていきました。

新しい法律をつくるときや、人権の解釈が争われる裁判の根っこには、いつも「そもそも正義とは?」という問いがある。あくまで個人的な感想ですが、ニュースの見え方が少し変わる話だと思っています。

心・言葉・AI——いま哲学が一番熱い場所かもしれない

心理学・脳科学:意識の謎はまだ解けていない

心理学は19世紀後半まで哲学の一分野でした。「心とは何か」を考えるだけでなく、実験や計測という科学の手法を使うようになったことで独立していったそうです。

ただ、独立してもなお残った難問があります。脳の中で起きているのは電気信号という物質の現象なのに、なぜ私たちには「悲しい」とか「赤い」といった主観的な感じが生まれるのか。これは「意識のハード・プロブレム」と呼ばれ、脳科学と心の哲学が一緒に挑んでいる最大の謎だと言われています。

言語学:言葉の外に出て考えることはできるのか

20世紀には「人間は言葉を通してしか世界を認識できないのではないか」という考え方が大きな潮流になりました(言語論的転回と呼ばれます)。そこから構造主義や記号論、認知言語学へと広がっていったそうです。

AI:「AIは心を持てるのか」は哲学の問いそのもの

AIの土台にある論理学は、もともと哲学の主要分野のひとつです。そのうえ今、私たちが真剣に議論している「AIは心を持てるのか」「AIが描いた絵に意識はあるのか」という問いは、心の哲学が長年扱ってきたテーマとほぼ地続きに見えます。

最先端の技術の話をしているつもりが、気づけば古代からの問いに戻っている。この構図が、私は個人的にすごく面白いと感じています。

私なりの整理:哲学は「親」、各学問は「独立した子ども」

前半で出した図の3段目を、もう少し言葉にしておきます。

  1. 哲学(親):問いを立て、考えるための枠組みをつくる
  2. 各学問(独立した子ども):実験・数式・データという専門の道具を持って、その枠組みの中を調べていく
  3. 最先端の壁:子どもが限界にぶつかったとき、もう一度親のところへ戻り「そもそもこの前提は正しいの?」と問い直す

「哲学は役に立たない」という言葉をたまに聞きますが、この整理をしてみて、私はむしろ逆じゃないかと思うようになりました。役に立つ場面が日常から遠いだけで、どの学問も限界まで進むと哲学に突き当たるように見えるからです。

もちろん、これは専門家の整理ではなく、あくまで一ファンの見取り図です。「その分け方は雑だ」というご指摘もあると思います。それでも、自分なりに地図を描いてみると、次に読む本が選びやすくなる実感がありました。

哲学そのものの入り口を探している方は、『子供の頃に好きだったギリシア神話、哲学と繋がっていた話』も参考になるかもしれません。

この「地図」を広げたい人におすすめの読み方

今回のような「学問の家系図」に興味が湧いた方は、いきなり個別の哲学者から入るより、全体を見渡せる一冊から始めるのがおすすめだと感じています。

私も最初は一人の哲学者の本にいきなり挑んで、見事に迷子になりました(笑)。

今回は、私が「最初にこれを読んでいれば遠回りしなかったな」と思っている本を紹介させてください。

まず1冊なら『哲学用語図鑑』(西洋哲学編)

田中正人さん著・斎藤哲也さん編集の『哲学用語図鑑』(プレジデント社)です。ピタゴラスからサンデルまで、主要な哲学者70人と200語以上の哲学用語が、イラストと一緒に紹介されています。

この本を最初に挙げたいのは、やっていることが今回の記事とほとんど同じだからです。哲学者の顔と時代、その人が遺した言葉、用語の語源や出典、そして「反対の意味の言葉は何か」まで、全部が図として並んでいる。文章で追いかけると迷子になる系譜が、目で見て掴めるようになっています。

今回の記事に出てきた名前を思い返してみると、ニュートン、アダム・スミス、プラトン、ロック、ルソー——ほぼ西洋哲学の流れの中の人たちでした。理系・文系の学問がどこから枝分かれしたのかを辿るだけなら、この1作目だけで十分だと思います。352ページとそれなりの厚さですが、頭から読む本ではないので、分量に怯む必要はありません。

東洋や日本の思想まで見たいなら『完全版』

この本にはその後、続編が出ています。『続・哲学用語図鑑 ―中国・日本・英米(分析哲学)編』で、孔子や老子といった中国の思想家、西田幾多郎や鈴木大拙といった日本の思想家、そして英米の分析哲学が入っています。

そして現在は、この1作目と続編を1冊にまとめた『哲学用語図鑑 完全版 西洋哲学・中国哲学・日本哲学』も発売されています。672ページとかなりの厚みですが、この記事のタイトルにした「全部哲学から始まったのか?」を、西洋の外まで含めて確かめたい方にはこちらかなと。

私の感覚では、こんな選び方でいいと思っています。

  • とりあえず哲学の全体像を掴みたい → 1作目『哲学用語図鑑』
  • 東洋思想や日本の哲学にも興味がある/どうせなら1冊で揃えたい → 『完全版』
  • すでに1作目を持っている → 『続・哲学用語図鑑』を買い足す

こんな方に合うと思います

  • 哲学に興味はあるけど、どこから手をつければいいか分からない方
  • 理系・文系どちらかの専門があって、その根っこを知りたい方
  • 文字だけの入門書で一度挫折したことがある方
  • 通勤や家事の隙間時間に、少しずつ知識を増やしたい方

読み方のコツは、頭から読もうとしないことだと思っています。私は巻末の索引と目次を眺めて、気になった用語のページだけ開く、という使い方をしています。今回の記事を書くときも「創発って結局どういうことだろう」と思って開き直しました。1日1ページでも、半年経てばそれなりの地図になります。

持ち歩くには少し重いので、外で読むならKindle版のほうが気楽かもしれません。ニュースを見ていて知らない言葉が出てきたときに、その場でスマホから引ける状態にしておくと、思っていたより出番があります。
*Kindle版は「哲学用語図鑑 完全版――西洋哲学・中国哲学・日本哲学」のみです。

気になった方は、よかったらこちらからどうぞ。

まとめ:次は「哲学と科学」の境界線を見てみたい

今回は、哲学から派生した学問を理系・文系・心とテクノロジーの3つに分けて整理してみました。物理学も経済学も心理学も、たどっていくと同じ幹に行き着く。そして今も、行き詰まった場所で哲学と再会している——というのが私の見取り図です。

ここまで書いてきて、自分の中で一番引っかかったのが「じゃあ、哲学と科学はどこで分かれたの?」という問いでした。ニュートンが自然哲学と呼んでいたものが、いつ、何をきっかけに科学になったのか。この境界線は、次回の記事でじっくり掘り下げてみたいと思っています。

次回:『哲学入門に子ども向けの科学の本がいい理由|大人こそ読みたい2冊』

繰り返しになりますが、私の整理が正しいかどうかは正直わかりません。でも、自分なりに考えてみること自体に意味があると思っています。それこそが、ソクラテスの「無知の知」的な楽しみ方じゃないかなと。

皆さんは、自分の得意な分野や仕事の中で「これって哲学とつながっているかも」と感じた瞬間はありますか?コメント欄で教えてもらえると嬉しいです!


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